中国歴史紀行 (137)     
           開封鉄塔 


開封市の市街東北隅にある。遠くから眺望すると鉄のように見えるが鉄塔は鉄の塔では無い、表面に彫刻を施した鉄色の瑠璃磚で覆っている。八角13層。高さ55.08m。基壇は度重なる黄河の氾濫によって地中に埋没している。中国最高の塔と言われている。

現在は公園になっているが、もともとは仏教の寺院があった。天宝開宝寺・独居寺・封禅寺・開宝寺・佑国寺・甘露寺・鉄塔と、いろいろ名を改めてきた。北宋の皇祐元年{1049}の建立。然し、これは落雷によって焼失し仁宗{第4代}が再建させた。仁宗が塔を建てたのは佛舎利を安置するためだった。

梁<ハリ>・椽<タルキ>・斗框<カマチ>などは木造そっくりに造られ精巧を極めている。記録に拠れば、地震38回、霰<アラレ>10回、強風10回、洪水6回の災害に耐えてきた。順冶11年<1654年>の暴風雨は強烈であったが、鉄塔はビクともしなかったと伝える。又、1938年には日本軍の砲撃・弾丸62発を命中させたことも有る。

天を突く巨柱のように聳える鉄塔は八角形の塔身の外側面は瑠璃磚は飛天・降龍・麒麟・菩薩・力士・獅子・宝相花弁など50余種の装飾図案が素晴らしい。生き生きした表情で暫し見とれて時間の経過も忘れる。宋代の瑠璃磚の傑作。今尚、毅然として「天下第一塔」の地位を守っている。

心柱をめぐって塔頂まで階段がある。合計168段と言うが最上階までは登らず、5階で開封の市街を俯瞰して降りた。時折の強風が身に沁みる。近くの売店で熱い中国茶で身を暖めた。

宋代には国禁を犯し日本の僧侶が渡来して修行した。その一人、成尋阿闍梨は62歳で渡来し約10年この開封に棲み、この寺で没している。成尋阿闍梨に就いては『清明上河図・12,13』を参照下さい。

                                                                                  


                                                                                                                               
                                                                                   

参考資料
天下第一塔開封鉄塔。
開封鉄塔簡介。
中国名跡事典。上海辞書出版社

02.02.2009



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