初月
 乾元二年秦州で「みかずき」を見て其の様子の作。近体詩。

光細弦
初上。     光細くして 弦 初めて上る
影斜輪未安。     影斜にして 輪 未だ安からず
微升古塞外。     
し升る 古塞の外
已隠暮雲端。     已に隠る 暮雲の端
河漢不改色。     河漢 色を改めず
関山空自寒。     関山 空しく自ら寒し
庭前有白露。     庭前 白露有り
暗満菊花団。     暗に 菊花に満ちて団なり

○光細、 一作常時(一に常時に作る) 
○初、  一作豈、又作欲。(一に豈と作る。又欲に作る)
○塞   一作?、(一に?と作る)
○団   一作?、)(一に?と作る)
○『詩経・?風(ようふう)野有蔓草)』 零露溥兮。
○『謝?…詩』 猶霑與露団。
○『江淹・詩』 簷前
已団。

[詩語解
]  
[弦初上] 月の弦形が上向きになる。
[輪] みかづきの底辺半円形となるを言う。
[安] 落ち着く。
[古塞] 秦州の砦を指す。
[河漢] 天の川。
[団] 露の集まりをいう、「溥と同じ意」

[訳文]

みかづきは、その光が細く、此のときからその弦形の尖端が上向きになる。然しその姿は未だ歪んでいて半円形の底辺のあたりは、落ち着かない。此の月影は古い砦の外に昇りかけると、早くも夕暮れの雲の端に隠れてしまっている。天の川は依然として、その色を変えない、周りの山は寒そうに残っている。庭前には、何時の間にか、白露が菊の花のうえにある。

[一説に、此の詩は粛宗のために作るという宋人の説あり]。


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