梅雨 (ばいう) 上元元年四月。草堂の梅雨の様子を詩作する。近体詩。 南京犀浦道。 南京 四月熟黄梅。 四月 黄梅 熟す 湛湛長江去。 冥冥細雨来。 茅茨疎易湿。 雲霧密難開。 雲霧 密にして開き難し 竟日蛟龍喜。 盤渦與岸廻。 ○ ○『楚辞・招魂』 湛湛長江兮上有楓。(湛湛として長江の上に楓有り) ○『楚辞・九歌・山鬼』 「雷填填兮雨 ○『何遜・詩』 「雲霧 江辺に起る。」 ○『郭璞・江賦』 [詩語解] [梅雨] 長江を境にして西南南北にして存す。 [南京] 成都を言う。至徳二年成都府を改めて尹を置き東西二京になぞらえ南京と号す。 [犀浦] 県の名。成都の一部。浣花溪は犀浦県に属する。 [湛湛] 水のたたえるさま。 [長江] 錦江の水。 [竟日] 日いっぱい。 [蛟龍] 水中の動物。 [盤渦] うずまく。 [與岸廻] 岸の勢いにしたがって廻る。 [詩意] 南京の犀浦県の我が居宅の道では四月に梅の実が熟す。此の時節の江の水は湛湛として流れ、薄暗く小雨が降ってくる。我が屋根は疎らであるので、湿り易く、雲や霧は開け難い。尽日喜ぶのは水中の蛟龍であろう。水面の渦巻きは岸に従って廻っている。 Copyright(C)1999-2011 by Kansikan AllRightsReserved ie5.5 / homepage builder vol.4"石九鼎の漢詩舘" |