絶 句 選一。 四首之三 渓前の景色を述べる。永泰元年。近体詩。 両箇黄鸝鳴翠柳。 両箇の黄鸝 翠柳に鳴く 一行白鷺上青天。 一行の白鷺 青天に上る 牕含西嶺千秋雪。 牕には含む西嶺 千秋の雪 門泊東呉萬里船。 門には泊す東呉 萬里の船 [詩語解] [黄鸝] うぐいす。 [一行] ひとつら。 [含] 含くむ,いれておく。 [千秋雪] 千年も融けない雪。雪の居るを言う。 [東呉] 東の方 呉に向かって下る(べき)。 [萬里船] 萬里を行く船,草堂は成都の萬里橋の西にあり,橋東に合江亭あり,呉に向かんとする者,皆,亭の處から船にのぼる,故に門前に船の泊す。 [詩意] 緑の柳に,二羽のウグイスが鳴いている。一行の白鷺が青天たかく飛びあがってゆく。 私の草堂の牕(窓)には千年消えることの無い西嶺の雪色をいれている。 門前には萬里東呉に向かって下ろうとする船が泊まっている。 [考察] 此の詩,全対挌。一句と二句が対し,三句と四句が対す。一句の2字と二句の2字も対している。此を句中対と言う。2,3字。,2,3字が相対して,3句と4句とも句中対,漢詩の妙は此処にある。 Copyright(C)1999-2011 by Kansikan AllRightsReserved ie5.5 / homepage builder vol.4"石九鼎の漢詩舘" |