絶 句   選一。 四首之三
渓前の景色を述べる。永泰元年。近体詩。

両箇黄鸝鳴翠柳。        両箇の黄鸝 翠柳に鳴く
一行白鷺上青天。        一行の白鷺 青天に上る
牕含西嶺千秋雪。        牕には含む西嶺 千秋の雪
門泊東呉萬里船。        門には泊す東呉 萬里の船


詩語解
[黄鸝] うぐいす。
[一行] ひとつら。
[含] 含くむ,いれておく。
[千秋雪] 千年も融けない雪。雪の居るを言う
[東呉] 東の方 呉に向かって下る(べき)。
[萬里船] 萬里を行く船,草堂は成都の萬里橋の西にあり,橋東に合江亭あり,呉に向かんとする者,皆,亭の處から船にのぼる,故に門前に船の泊す。

詩意
緑の柳に,二羽のウグイスが鳴いている。一行の白鷺が青天たかく飛びあがってゆく。
私の草堂の牕(窓)には千年消えることの無い西嶺の雪色をいれている。
門前には萬里東呉に向かって下ろうとする船が泊まっている。

考察
此の詩,全対挌。一句と二句が対し,三句と四句が対す。一句の2字と二句の2字も対している。此を句中対と言う。2,3字。,2,3字が相対して,3句と4句とも句中対,漢詩の妙は此処にある。         




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