中国笑話集>2>
                    中国笑話選 
    
1・送り物をする
趙財と李富はどちらも有名なけちん坊でしたた。ある日、趙財は李富に会いに行くことになり、土産を持って行くことになり、土産を持って行くには、お金が惜しいし、持って行かないと、みっともないし、結局彼は紙を一枚持ち出して、ハサミで魚の格好に切り、それを土産にしました。趙財が李富の家に来ると、あいにく李富は出かけて留守でその息子がいるだけでした。

趙財は紙の魚を取り出し
『この魚はネ、君のお父さんに持って来た物です。どうぞ。』
と言うと、李富の息子は紙の魚を受け取ると、仕返しをしようと、ひそかに思いをめぐらせました。 趙財が別れを告げようとした時、李富の息子が言いました『この月餅をお持ち下さい。』そう言って両手で大きな月餅の形をつくりました。

息子は心の中で考えましたた。父が帰ってきて、この話をすると、きっと僕を褒めてくれるに違いない。李富が帰ってきて、その話を聞くと怒って言いました。
『誰が、叔父さんに、丸ごとやれと言った。まさか半分ではダメだと、言うのではないだろうな。早くその半分を取り戻してこい。』

2・
三年目を待ち望む
新任の官員が赴任して来た時、下っ端役人に尋ねた。
『官員はどう行動すべきでしょうか。』
下っ端役人が答えた。
『一年目は清廉に、二年目には半分清廉に行動してください。三年目には、ごまかしなさい。』  官員は嘆いて言った。
『三年になるまで、どうやったら我慢できるだろう。』

3・
酒の糟
張三、無類の酒好きだが貧乏なので酒が買えない。そこで外出のたびに酒糟を二枚買っては食べていました。二枚も食べれば、ほろ酔い加減になり。そんな時、彼は友人に出くわしました。  『ようー、朝酒をやったね。』
『いやー、酒糟を食べただけだ。』
帰って来て、そのことを妻に話した。妻は彼をたしなめて言いました。
『バカね。酒を飲んだと言えば、体裁がいいじゃないの。』
男は成るほど、と思いました。次にまたその友人に会った、友人は前と同じように尋ねたので、 

『うん、一杯やったよ。』
『で、冷かい、それとも熱燗でかい?』
『いや、焼いたのをだ。』
『やっぱり酒糟だね。』
友人は笑った。帰って女房に言いました、、
『バカね、なぜ熱燗と言わないの。』
次に又、その友人と会ったので、先手を打って自慢そうに言いました。
『熱燗でやったよ。』
『何本ぐらい?』
『二枚だ。』

4・
どっちもどっち
遊女が客に言う。
『主さま、ここで遊んでいらっしゃる間、奥さまは家で一人で淋しくしていらっしゃるわけね。』   

『女房が一人でいるわけないわい。』
『それ、どう言うこと?』
『女房がもし一人でいるんなら、俺を出してくれるわけ、なかろ!』   

5・牛を盗む
ある男が罰を受け、首かせと鎖をつけ、大道で”さらし者”になっていました。友人が、そこの大通を通りかかり、一瞬目を疑って男に尋ねました。
『君は何の罪を犯して街に連れてこられて、さらしものになっているのだい。』

その男は答えました。
『運が悪くて、こう言うことになってしまったんだ。今朝早く街を歩いていると、縄が一本落ちているのを見つけたんだ。後で役に立つかもしれないと思い、拾って持ち帰えったのさ』

友人は言いました。
『それにしても、首かせの、さらしものに、なることはないだろう』
男は言いました。
『ウン、ただ、まづいことに、縄の先に子牛が一頭つないであったのだ』

6・
美酒の夢
飲んべえが美酒を拾った夢を見ました、燗をしているうちに目が醒めてしまった。の飲んべえは大いに後悔して言いました。
『ええい、冷やで飲むんだった!。』 

7・
漁夫の利
カラス貝が川辺の砂地で日向ぼっこをしていた。ちょうど殻を開いた時、シギがくちばしを突き出してカラス貝をついばんだ。貝は急いで閉じたので、シギの長いくちばしをぎゅっと挟んでし まった。シギは怒って言いました。

『今日雨が降らず、明日も雨が降らなかったら、いったいお前はどうやって生きていくのだ。』    カラス貝も弱みを見せず言いました。
『今日あんたを放さず、明日も放さなかったら、あんただって生きられないよ。』

ちょうどシギとカラス貝が言い争って、どうにも収まらない時、漁師のお爺さんに見つかってしまいました。お爺さんは、何の苦労もせずに彼等を捕まました。

8・
腹の中
坊主が渡し場で 『舟に乗せて下さい』と頼んだところ、船頭は言いました。

『舟の中には、ご婦人客がたくさんいらっしゃるので、ずっと目をつぶっているなら乗せてあげます』そこで坊主、言われた通りに、ずっと目をつぶっていました。やがて向こう岸に着きました。船頭が『着いたよ』の声に応じて立ち上がった坊主の頭を、いきなりポカリ。

『南無阿弥陀仏。拙僧は一度も目を開けなかったのに、どうして殴るのですか』 と坊主が言うと、船頭、 『お前さんが腹で考えていたことを、わしが解らぬとでも言うのか。このすけべえ坊主め』

9・
腹の中(2)
坊主と婦人が同じ舟に乗り合わせました。坊主がジロジロ婦人を見るので、婦人は怒って下男に坊主を殴らせました。すると坊主は目をつぶってしまいましたやがて舟が向こう岸に着いた。すると婦人は又、下男に坊主を殴らせました。
『今度は、いったい何の罪で?・・・・・』
坊主が聞くと、婦人、
『お前さん目をつぶって、私のこと。あれこれ考えていたでしょう。』

 [ 目次 ]



          Copyright(C)1999-2004  by tohou AllRightsReserved
                      石九鼎の漢詩舘
                thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/warai2.htm
             リンクは自由です。無断で複製・転載することを禁じます