中国笑話選>4>
                   中国笑話選  
  
  1・ここに銀三百なし
劉大は永が年の質素生活で、やっと銀・三百両を蓄えました。彼は銀をどこに保管しようかと、 頭を痛めました。身につけていたら、なぐ無くなるかもしれない。家に隠していても盗まれるかもしれない。あれこれ考え。ついに好い考えが浮びました。

彼は闇夜に乗じて、家の裏の壁ぎわに穴を掘り、銀を埋めました。しかし、彼はまだ安心出来ません。ここに銀を埋めたことが他人に見つかるかも知れないと思い、『ここに銀三両なし』と紙に書いて家の壁に貼り付けました。

これで、やっと心が落ち着き家に帰り、ぐっすり眠ることができました。ところが、隣の王二は劉大が銀を埋めた一挙手一動をこっそり見ていました。真夜中に劉大が寝込んでから王二は抜き足差し足で家の裏に来て、こっそり銀三百両を掘り出して盗んで行きました。家に戻り王二は白く光り輝く銀を見て嬉しくてたまりません。撫でたり、擦ったり、こ踊りして喜びました。

しかし、劉大に疑われたら、どうしようと心配しあれやこれや考えた王二はパツと好い考えが浮びました。やはり紙によく目立つ大きな字で 『隣の王二、銀三百両、盗んだこと無し』と書いて家の裏の壁に貼り付けに行き、見つかるかも知れないと思い、 『ここに銀三百両なし』と紙に書いて家の壁に貼り付けて、これで、やっと心が落ち着きました。

家に帰って、ぐっすり寝ることが出来ました。ところが、隣の王二は劉大が銀を埋めた一挙一動を、こっそり見ていました。真夜中、劉大が寝込んでから、王二は、抜き足差し足で家の裏にやって来て、こっそり銀三百両を掘り出し盗んで行きました。家に戻って王二は白く光る銀を見て嬉しくてたまりません。

撫でたり、擦ったり、こ踊りして喜んでいました。しかし、劉大に疑われたら、どうしようと心配し、あれやこれや考えた劉大はパッと好い考えが閃きました。やはり紙によく目立つ大きな字で  『隣の王二。盗んだことはない』 と書いて、それを家の裏の壁に貼り付けに行きました。

それから安心しきって家に帰りぐっすり寝ました。

  2・呼び名
周という人は陳という人を 『東翁』 と呼んでいました。陳という人はその意図が解かりません、あれこれ考えました。ハッと悟り、それから数日後、周という人に会った時、その人を 『吉先生』と呼びました。周という人はあっけにとられて言いました。

『私は吉という姓ではなく、周というのです。』 陳という人は言いました。 『私は陳であって、東ではありません。あなたは私の耳を切り取ったのに、まさか私が、あなたの皮を剥いではいけない。と言うのでは無いでしょうね。』

  3・年寄りブタの肉
ある肉屋、年寄りブタの肉ばかり並べていましたが、小僧には、
『年寄りブタの肉だと客には言ってはならんぞ』
と厳しく言いつけました。客が来たので小僧、見破られるを恐れて、
『これは年寄りブタの肉ではありません』
と先に言いました。客は気付いて買わずに行ってしまったので、主人、
『あれほど言い付けておいたのに、なぜ疑われるようなことを、こっちから先に言うんだ』

と言って、小僧を殴った。やがて、また客が来ました。小僧が黙っていると、その客は肉を見て、『なんだか年寄りブタの肉のようだな』
と言いました。小僧、主人の方に向いて。
『今度は、ボクが先に言ったんじゃありませんからね。』

  4・妻を選ぶには
楚の国のある男が二人の妻を持っていました。別の男がこの二人を誘惑しようと考えました。 まず最初に年上の妻にちょっかいを出してみたが、罵り返されてしまいました。

次に若い方にちょっかいを出すと、求愛に引っかかりました。ほどなくして、二人妻の夫が亡くなったので、二人とも再婚しようと考えました。
ある人が仲に入ってかの男に尋ねました。
『おまえさんは、年上のと結婚したいのかい? それとも若いほうとかい?』

『わたしは年上のほうがいいね。』
『あの年上の女は、あんたを罵ったじゃないですか。あの年下のほうが、あなたの求愛を受け  いれたじゃないですか。なのに何でまた、年上女のほうを、お選びなのです?』

『その通りだよ。他人のモノである間は、なびいてくれるほうが嬉しいが、自分の女房となると ちゃんと罵ることが出来き、他の男の愛人にならない女のほうを希望するよ』

  5・饅頭
先生と弟子とが街を散歩中、道に饅頭が落ちていた。弟子が拾い上げると、先生

『そんなはしたない事をするでない!』
とたしなめました。帰って来て弟子が本を読んでいると、先生が入って来て言う。

『さっきの饅頭をお出し。二人で食べようじゃないか。一人で贅沢をしてはいけない』

  6・魚の気持ち
荘子と恵子の二人が散歩していて、濠水のほとりにやって来た。水中を泳ぎ回る魚を見つめて 荘子は言いった。
『ごらん、魚たちは実に自在に泳ぎ回っているよ。きっと気持ちがいいんだろうな。』

恵子が言つた。
『お前さんは魚じゃないのに、どうして魚が気持ちいいなどと判るのだい。』
荘子は反論して言った。
『お前さんこそ私じゃないのに、どうして私が魚の気持ちよさを判らないと判るのかい。』

  7・賭け事
賭け事の好きな男、昼も夜も家に帰らず賭け事をやり、とうとう無一文になった。 そこで女房をかたにして、又やったが、また負けてしまい、もう賭ける物がない。
『頼む。もう一ペン女房をかたにしてやらせてくれ』
と頭を下げると、勝った男。
『二重のかたにするほどの値打ちのある女房なのか』
『うん、実は女房、まだ処女なんだ。』
『そんなアホウなことがあるか』
『嘘じゃない。俺は結婚してから、まだ一晩も家で寝たことがないんだ。』 

  8・暴飲
ある親子、旅に出て酒を買ったが、一度に飲んでしまうのが惜しくて、箸を酒の中に浸してその箸を舐めることにした。
互いに、そうして、酒を舐めあっているうちに、息子が二度つづけて舐めたとところ、親父が、叱りつけた。
『こら、なぜおまえは、そんなに無茶飲みをする!』

  9・羅切
お産をふかえた女房、腹がひどく痛むので、亭主に向かって、
『わたしに、こんなつらい思いをさせて!みんなあなたのせいよ』と怒る。
『すまん。すまん。これからは、もう、あとで怒られないように、俺、ちょん切lちまうよ』

と亭主が言うと、女房また怒り出した。
『ばか!やっと少し痛みがおさまったと思ったら、あんたったら、またわたしえお怒らせる!』

  10・素通り
ある女房、夜中にきざしてきたが、口に出しかねて、
『ねえ、あんた、壁際のほうへ寝てよ』
と言った。亭主は女房の体の上を越えて行ったが、手を出そうとはしない。そこで、女房は

『やっぱり元の方がいいわ。もういっぺん、入れかわってよ』
亭主は、また女房の体を乗り越えて行ったが、やはり手を出そうとはしない。すると女房は

『誰もわたしの気持ちをわかってくれない!』 と言って、わっと泣き出した、亭主が。
『どうしたんだ。それはどう言うことだ』 と聞くと、
『あなたは門の前を二度も通りながら、中へはいってみようともしないじゃないの。
そんな人に、わたしの気持ちがわかるもんですか』

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