本堂と鐘楼門

  本堂は今より約180年前に再建されたもので、平成12年の修理の際、鬼瓦に天保11年(1840年)の銘が発見されて建築年代が確定しました。
この本堂は正面に広縁を設け、奥に三室続きの畳敷きの外陣(げじん)、さらにその奥中央に内陣(ないじん)を置き、その左右に書院を設ける方丈(ほうじょう)形式となっています。この形式は、禅宗(曹洞宗・臨済宗)寺院の一般的な本堂として室町時代以来使われてきたものです。普通の方丈型本堂より開口で半間、奥行きで一間半ほど大きい点に特色があり、内陣両脇の部屋が左右二室ずつ(普通は一室)となっています。また、使われている柱は七寸角と太く、普通の本堂の五~六寸格に比べて断面積が1.5倍から2倍あります。太い柱を用いることにより、外陣の周囲では柱の本数を減らして豪快な構造を見せており、江戸末期の建築技術の高さを示しています。
 重要文化財に指定されている東区の日蓮宗国前寺本堂とともに、広島城下に存した寺院本堂の姿をしのぶことができる稀有の貴重な建物です。
 軒先に白い漆喰塗り裏甲(瓦下の横材)を用いるのが、広島城下にあった寺院本堂の特色で、軒先が引き締まり、粋な江戸の姿を見せています。
鐘楼門は本堂よりも少し古い文政9年(1826年)の建立です。禅宗寺院には珍しい鐘楼門で、かつては二階に梵鐘が吊ってありましたが、太平洋戦争の折供出し、かつての梵鐘はありません。県内に残る鐘楼門としては古例のひとつであって貴重です。上記の説明文は平成12年本堂、鐘楼門修復工事の監修をお願いした広島大学大学院文学研究家教授で広島市文化財審議会委員の三浦正幸先生が、~海蔵寺だより2001特集号へ~「海蔵寺本堂と鐘楼門」について書いてくださった文章からの抜粋です。尚、平成17年12月4日梵鐘再寿がかない、翌18年より除夜会を開催しています。除夜会は、毎年12月31日午後11時40分より本堂でお勤め後、第一声を住職が撞き、午前1時まですべてのお参りの方に撞いていただけます。草津まちづくりの会の「除夜の鐘ラリー」に入っていますので、草津真宗寺院3か寺、日蓮宗寺院1か寺、当寺1か寺の合わせて5か寺の鐘を撞かれた先着200名の方には、草津まちづくりの会より記念品があります。
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